相手の英語は分かったのに、返事をしようとした瞬間、言葉が出てこない。そんな経験は珍しくありません。
このとき必要なのは、難しい単語を思い出すことよりも、まず「私はまだ話しています」と相手に伝え、数秒の考える時間を作ることです。日本語の「ええと」「そうですね」「何と言えばいいかな」に当たる短い表現を持っているだけで、会話は止まりにくくなります。
この記事では、英語がとっさに出てこないときに使える表現を、目的別に紹介します。すべてを覚える必要はありません。最初は各場面から一つずつ選び、自分の定番表現にしてください。
英語が出てこないとき、沈黙をゼロにする必要はない
英語を話すときに間ができると、「流暢ではないと思われる」「早く答えなければ」と焦りがちです。しかし、母語で話すときにも、人は考え、言い直し、確認しながら会話を進めています。
第二言語の流暢さに関する研究でも、話す速さだけでなく、ポーズを置く位置や言い直し方など、複数の要素が区別されています。大切なのは、間を完全になくすことではなく、相手が待てる形で間を使うことです。
英語をしばらく使っておらず、以前より言葉が出にくいと感じる方は、先に英語ブランクから会話力を取り戻す方法を読むと、今の状態と練習の順序を整理できます。
1. 考える時間を作る表現
Let me think.
「ちょっと考えさせてください」。短く、幅広い場面で使えます。迷ったら最初に覚えたい表現です。
A: What did you like most about the project?
B: Let me think. I liked working with people from different teams.
That’s a good question.
「いい質問ですね」。質問を受け止めながら、次の言葉を考えられます。毎回答える前に使うと不自然なので、本当に少し考えたい質問で使います。
How should I put it?
「何と言えばいいでしょうか」。気持ちや複雑な状況を、慎重に説明したいときに向いています。
Let me see.
「そうですね」「ちょっと見てみます」。記憶をたどるときや、予定・情報を確認するときに自然です。
2. 言いたい単語が見つからないときの表現
How do you say … in English?
英単語そのものを尋ねる表現です。
How do you say 「回覧板」 in English?
What do you call …?
物や仕組みの名前を尋ねるときに使います。
What do you call the person who leads the meeting?
It’s something like …
「何か〜のようなものです」。正確な単語が出なくても、近いものから説明を始められます。
It’s a kind of …
「〜の一種です」。上位のカテゴリーを示してから、特徴を付け加えます。
It’s a kind of tool. We use it to cut cables.
It’s the thing you use to …
「〜するために使うものです」。名前が分からなくても、用途で伝えられます。
単語が出ないたびに会話を止めるより、知っている英語で説明を続けるほうが実践的です。これは「知らない単語を放置する」という意味ではありません。会話中は説明で切り抜け、終わったあとで必要な単語を確認します。
3. 言い直すときの表現
What I mean is …
「私が言いたいのは〜です」。発言の意図を明確にするときに使います。
Let me rephrase that.
「言い換えます」。仕事の説明や会議でも使いやすい、落ち着いた表現です。
Sorry, I mean …
「すみません、〜という意味です」。数字、曜日、人名などをすぐ訂正したいときに便利です。
We’ll send it on Tuesday—sorry, I mean Thursday.
In other words, …
「言い換えると〜」。同じ内容を別の角度から説明するときに使います。
4. 相手の質問を確認しながら時間を作る表現
If I understand correctly, …
「私の理解が正しければ〜」。質問の意味を確認しながら、自分の答えを組み立てられます。
Do you mean …?
「〜という意味ですか」。相手の言葉の一部だけ分からないときにも有効です。
Are you asking about …?
「〜について尋ねていますか」。質問の範囲を絞る表現です。
Let me make sure I understand.
「理解できているか確認させてください」。大切な指示や条件の確認に向いています。
英語の会議での聞き返しは、日常会話よりも数字・期限・担当範囲の正確さが重要です。会議向けの表現は、英語会議の聞き返し表現20選で詳しく扱います。
5. 話を続けるための短い表現
The main point is …
「要点は〜です」。話がまとまらなくなったとき、結論に戻れます。
For example, …
「例えば〜」。抽象的な説明が難しいとき、具体例へ切り替えられます。
As I was saying, …
「先ほど言っていたように〜」。途中で話がそれたあと、元の話題へ戻す表現です。
まず覚えるなら、この5つ
- Let me think. ― 考える時間を作る
- What I mean is … ― 意図を言い直す
- It’s a kind of … ― 単語を説明で補う
- Do you mean …? ― 相手の意味を確認する
- The main point is … ― 要点へ戻る
20個を一度に暗記するより、この5つを自分の話題で何度も使うほうが、実際の会話で出やすくなります。
まず一つ選び、AIから質問を受けた直後にその表現を使ってみましょう。English Coach AIの無料5分体験なら、短い会話の中で繰り返し試せます。
つなぎ表現を「知っている」から「使える」に変える練習
- 一つ選ぶ:まず Let me think. など一つだけ選びます。
- 質問を用意する:仕事、趣味、週末など、自分が実際に聞かれそうな質問を三つ用意します。
- 必ずつなぎ表現から答える:質問を聞いたら、答えを急がず、選んだ表現を言ってから話します。
- 内容を変えて繰り返す:同じ英文を暗唱するのではなく、答えの内容を毎回変えます。
- 翌日にもう一度使う:一日で仕上げず、別の日にも口から出るか確かめます。
English Coach AIの会話レッスンでは、テーマを選び、AIの質問に対して声に出して答える練習ができます。つなぎ表現を使うことを、その日の小さな目標にすると練習しやすくなります。
まとめ
英語が出てこないとき、黙ったまま完璧な文を探す必要はありません。考える、説明する、言い直す、確認する。そのための短い表現を使えば、不完全な英語でも会話を前へ進められます。
最初の目標は、流暢に話し続けることではなく、「止まりそうになったときに、自分で会話をつなぎ直せること」です。
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参考資料
- Suzuki, S. & Kormos, J. (2023), The multidimensionality of second language oral fluency: Interfacing cognitive fluency and utterance fluency
- Lambert, C., Kormos, J. & Minn, D. (2017), Task repetition and second language speech processing